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初心者でもわかる暗号資産の税金の基礎を徹底解説

速水 芹苗

暗号資産の取引によって利益を得た場合、その利益は原則的に課税の対象となります。

暗号資産は匿名性が高く、確定申告しなくてもバレないのではないかと考える方もいるかもしれませんが、税務署が銀行や取引所に対して税務調査を実施できるようになってきているので、間違いなくバレてしまいます。

そして脱税がバレると、本来払うべき税額よりも余分に納税しないといけなくなる可能性もありますので、きちんと確定申告をして、きちんと納税をする方が、結果的にはお得になるということですね。

とはいえ、暗号資産の税金についてきちんと理解し、正確な金額を計算するというのは、難易度が高いと感じる方が多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、暗号資産における税金の取り扱いなどの予備知識と、納税の仕方についてわかりやすく解説します。

暗号資産の税務上の取り扱い「雑所得」

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国税庁が発表した「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(平成31年2月)」によれば、暗号資産の取引によって得た所得(利益)は、「雑所得」に区分されます。

所得税は、その内容ごとに10種類に分類されます。簡単に説明すると、以下のような区分となっています。

番号 所得の種類 説明
1 利子所得 預貯金や公社債の利子、および合同運用信託、公社債投資信託、公募公社債等運用投資信託の収益の分配などに係る所得
2 配当所得 株主や出資者が法人から受ける配当、投資信託および特定受益証券発行信託の収益の分配などに係る所得
3 不動産所得 土地や建物などの不動産、借地権、船舶や航空機の貸付けによる所得
4 事業所得 農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得
5 給与所得 勤務先から受ける給料、賞与などの所得
6 退職所得 退職により勤務先から受ける退職手当、厚生年金保険法に基づく一時金などの所得
7 山林所得 山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得
8 譲渡所得 土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得
9 一時所得 上記1から8までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外のもの
10 雑所得 上記1から9までの所得のいずれにも該当しない所得。暗号資産の取引によって得られた所得は「雑所得」に区分される

暗号資産取引によって得られた所得は、基本的には雑所得に該当します。

暗号資産取引の収入のみによって生計を立てている場合や、事業用資産として暗号資産を保有し、棚卸資産等の購入の際の決済手段として使用した場合には、雑所得ではなく「事業所得」として取り扱うことも考えられます。

より詳細には、国税庁Webページを参照ください。

参考:国税庁|所得の区分のあらまし

暗号資産が区分される雑所得は「総合課税」の対象となる

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所得税の計算方法には、総合課税と分離課税の2つがあります。

総合課税とは、総合課税の対象となる区分の所得金額を合計して、所得税額を計算するものです。

分離課税とは、一定の所得について、他の所得金額と合計せず、分離して所得税額を計算するものです。

暗号資産所得が該当する雑所得区分の中にも、総合課税になるものと分離課税になるものがあります。

暗号資産取引による所得は、総合課税に区分されます。

外国為替FXなどの先物取引で得られた所得は、分離課税に区分されます。

では、暗号資産のFXはどうなるのか?と疑問に思われるかと思いますが、租税特別措置法(41条の14)の規定により、申告分離課税の対象から除かれているため、暗号資産のFX取引は総合課税となります。

総合課税の区分には、以下のようなものがあり、暗号資産以外の所得がある場合は、合算した所得に対して税率を乗じ、税額を計算します。

  1. 利子所得(分離課税に該当するものを除く)
  2. 配当所得(分離課税に該当するものを除く)
  3. 不動産所得
  4. 事業所得(株式等の譲渡によるものを除く)
  5. 給与所得
  6. 譲渡所得(土地・建物等および株式等の譲渡を除く)
  7. 一時所得(分離課税に該当するものを除く)
  8. 雑所得(株式等の譲渡、分離課税に該当するものを除く)

暗号資産の取引は一般的に、全て総合課税制度の対象となりますが、その他の所得と合算して計算する必要があるため、株式や金融先物商品などの取引がある場合には、注意が必要です。

詳しくは、以下の国税庁の資料をご覧ください。

参考:国税庁|総合課税制度

暗号資産所得の税率

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暗号資産取引で得た所得は総合課税であり、その他の所得と合算した金額を基に、収めるべき税額を計算することになります。

こうして計算された所得の総合計金額に対して、所得税率を乗じ、納税額が決定されます。

所得税の税率は、所得の金額に応じて大きくなる「累進課税」方式となっています。

  • 194万9,000円まで 所得税率5%
  • 195万円〜329万9,000円 所得税率10%
  • 330万円〜694万9,000円 所得税率20%
  • 695万円〜899万9,000円 所得税率23%
  • 900万円〜1,799万9,000円 所得税率33%
  • 1,800万円〜3,999万9,000円 所得税率40%
  • 4,000万円〜 所得税率45%

利益が大きなればなるほど、所得税の税率は上がり、収入が4000万円を超えると所得税率は最大45%にもなります。

さらに、ここに住民税が一律10%加算されますので、「暗号資産の所得のうち、最大で55%の税金が課される」ということになります(実際の計算は、もう少し複雑になります)。

参考:国税庁|所得税の税率

暗号資産の所得が、いくらになったら納税が必要になる?

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暗号資産の所得が、いくらになったら納税が必要になるかについては、納税者の状況や、納税先によって異なります。

納税者別に、納税の必要が生じる所得の金額をまとめると、以下のようになります。

納税者 所得税を納める必要がある所得の金額 住民税を納める必要がある所得の金額
会社員 20万円 所得の金額に関係なく納税する
主婦・学生(被雇用者) 48万円 43万円
個人事業主 所得の金額に関係なく納税する 所得の金額に関係なく納税する

参考:国税庁|確定申告が必要な方

暗号資産の所得の計算方法

「ビットコインの売り板と買い板」の写真

利益を計算する必要がある暗号資産取引の種類について、国税庁が発表した「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(令和3年12月)」を元にして解説します。

暗号資産の取引と一言で言っても、様々なケースがあります。ここでは、主な取引の例をあげることにします。

  • 暗号資産で商品を購入した
  • 暗号資産同士の交換を行った
  • 暗号資産の分裂(分岐、ハードフォーク)によって暗号資産を取得した
  • 暗号資産を採掘(マイニング)により取得した
  • 暗号資産をエアドロップで受け取った
  • ICOで暗号資産を購入した
  • 暗号資産を贈与や相続で取得した

このうち、どれについての所得を計算しないといけないかというと、「全ての取引」ということになります。暗号資産を動かすと、何らかの課税関係が生じると考えていただいても過言ではありません。

年に数回しか取引をしない場合には、都度、取得価額と売却価額の差額を計算すれば良いのですが、取引の頻度が多い場合には、取得価額の平均を取って計算をすることができるようになっています。

暗号資産の税金に関して、もっとも複雑で面倒なのがこの所得の計算方法となります。この記事で詳しく書くと非常に長くなってしまいますので、詳しい利益の計算方法については、こちらの記事にて解説しています。ぜひご参照ください。

確定申告と納税の流れ

「電卓で確定申告を計算する」の写真

暗号資産の利益にかかる税金を納税する時の基本的な流れは以下のようになっています。

  1. 各取引所から1年分の取引履歴をダウンロードする
  2. 暗号資産取引の所得を計算する
  3. 計算結果を確定申告資料に記載して提出+納税をする

この流れの中で最も大変なのが、暗号資産取引の所得の計算です。

計算を終えて、確定申告書を作成したら、必要書類とともに税務署に持ち込み、提出+納税という形になります。

確定申告の時期は、例年2月16日〜3月15日となっています。この期間中に、税務署に必要書類を持ち込む必要があるのですが、3月になると混み合います。

確定申告は、年単位での税額を申告します。例えば2022年の確定申告をする場合、2022年1月〜12月の取引履歴をダウンロードし、所得を計算します。

ですので、遅くとも年内には所得の計算を開始し、翌年2月中に確定申告を完了させることをお勧めします。

暗号資産の税金は納めないとバレる?

「何度も書き直した確定申告」の写真

さて、ここまで暗号資産の税金についてや、確定申告の方法をお伝えしてきました。

暗号資産取引をされている方の中には、できれば税金を納めたくないと思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

「暗号資産の税金は高すぎる・・・いや待てよ。暗号資産は匿名性が高いから、納税しなくてもバレないのでは?」

と考える方もいるかもしれません。

残念ですが、結論をお伝えすると、「暗号資産の脱税はバレます!」。

税務署は、取引所に対してユーザー情報の開示を求めることができる

暗号資産やシェアリングエコノミーなど、「広域的、国際的な取引が容易で、取引の実態がわかりにくいサービス」に関する国税庁の調査は、年々強化されています。

暗号資産の項目に関して言えば、「現⾏実務上⾏っている事業者等に対する任意の照会について、税法上、国税当局が事業者等に対して協⼒を求めることができる旨が明確化」されたとあります。

つまり、税務署が取引所に照会をかけて、ユーザー情報を開示させることができるということです。

実際に、国税庁から取引所に照会をかけ、脱税が発覚したケースがあるとの報告もされています。

参考:シェアリングエコノミー等新分野の経済活動への的確な対応

暗号資産取引で100億円分の申告漏れが指摘されている

取引所への照会を実際に行なった結果、2019年6月には、100億円の申告漏れが指摘されたという新聞報道がありました。しかも、過去数年に遡っての調査となっています。

この記事が示すように、バレてから大変な目に合っていらっしゃいますね・・・。

参考:仮想通貨取引、50人と30社で100億円申告漏れ指摘

            暗号資産で申告漏れ、追徴2億円超も…年収900万円の会社員「納められる金額でない」

脱税がバレるとどうなる?

脱税がバレると、「付帯税」というペナルティーが課されます。

本来支払うべき税額に加えて、罰金を支払わなければなりません。

また、暗号資産の根幹となっているブロックチェーンは改ざんできない取引記録となっているため、一度ウォレットアドレスが発覚すれば、過去まで遡って税金を徴収されることにもなります。

期限までに税金を支払わなかった場合には、利息のような延滞税もかかってくるため、納期限(その年の所得税はその年に収める)もしっかりと守らなければなりません。

脱税はだめ!

脱税はバレます。そして、脱税に対してのペナルティはとても大きな負担です。税金が払えずに最悪自己破産に陥っても、税金の支払は免除されません。

今一度、税金は決められたタイミングでしっかりと納めないといけないことをご理解いただきたいと思います。

暗号資産の確定申告は早めに開始しましょう

というわけで、暗号資産の税金、確定申告について解説しました。簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 暗号資産の所得税は雑所得に区分され、総合課税制度が適用される
  • 暗号資産の取引においては、取引回数が多い場合、利益の計算方法がとても複雑になる
  • 暗号資産の納税は確定申告で実施する
  • 暗号資産の脱税は絶対NG!!!

暗号資産の税制については、まだまだ法規制が発展中であり、事例も少ないため、「国税庁の資料を読んでみたけど、理解できない」ということも十分にありえます。

ご自身のケースに当てはめた時、どうなるのかよくわからないという場合は、税理士に相談することも視野にいれてはどうでしょうか。

コインタックス税理士事務所では、暗号資産取引に精通した専門税理士が、培った経験を基に、あなたの大事な資産を守る方法をお伝えします。

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